渋谷ゼミ用参考文献


 ゼミでは、「国際金融と世界経済」、「ファイナンス理論」、そして「人間の思考・推論・行動」について学んでいます。年度によって重点の置き方が変わりますが、これらは私の知的関心の観点から見ると互いに関連している分野です。社会は人間の行動から成り立っています。そして、社会を動かしている原動力は経済であり、経済を動かしている原動力は金融であり、金融を動かしている原動力は不確実性の下での各経済主体の思考・推論・行動です。したがって、世界経済のダイナミックスを理解するには、最終的には各経済主体の思考・推論・行動原理を理解することが必要です。経済学という分野を超えてもっと一般的に言えば、世界の出来事や人類の歴史を理解するには、人間に特有な思考・推論・行動原理すなわち人間の本性を正しく理解することが必要です。人間の本性を研究する人間科学が、全ての社会科学の基礎になるわけです。

 言い換えると、社会科学の基礎には何らかの人間モデルが存在していることになります。社会科学が導き出す命題はその前提となっている人間モデルに大きく依存しています。したがって、社会科学が有効な命題を導出できるためには、人間の思考・推論・行動の本質を捉えた普遍的人間モデルが必要です。その意味で、経済学が想定している人間モデル(期待効用最大化モデル)は、狭い意味での経済学における命題を導出するには非常に有効でも、社会科学の普遍的モデルとしては明らかな限界があります。なぜならば、不確実性の下での行動や価値観に基づいた行動や社会的文脈の中での行動などを十分に分析できないからです。現在、社会科学全般に応用できる普遍的人間モデルが強く求められている理由がここにあります。人間の思考・推論・行動の本質を捉えた新しい人間モデルを創造することが現代の社会科学者に課せられた大きな課題です。

 三分野の相互関連性と社会科学の基本的課題を説明した上で、各分野の参考文献を紹介します。ただし、本格的参考文献を紹介する前に、これらの分野に関連している一般教養読本をいくつか紹介することにします。それらを読むことによって、各分野の関連性と重要性がより理解しやすくなると思うからです。以下では、教養読本を紹介しながら、自由で幸せな人生を送るために必要な「経済的独立」の必要性についての話から始めて、「経済的独立」を達成するために時間を味方につける長期国際分散投資について、金融のプロに騙されないために必要な金融の基礎知識について、不確実性の下での人間の思考・推論・行動を研究する認知心理学について、言語学と脳科学と哲学が明らかにする人間の本性について、言語能力を持った人間の本性としての「自由と創造」について、そして「自由と創造」の観点から自分自身の世界観・人生観を持つことの重要性について、最後に人生の目的は何かという問いについて、という順番に議論を進めていきます。


一般教養読本

 ここでは一般教養読本を紹介しながら「生きること」について考えてみましょう。

 生きていく上ではじめに必要なものは、衣・食・住を可能にする経済的基盤です。幸せな生活とは確固とした経済的な土台があってこそ成り立ちうるものです。それが欠けていると日常生活以外のことを考える余裕がなくなります。ましてや、幸福な人生などは夢物語になってしまいます。そこで、始めに、みなさんが日本社会の中でこれから生活して行く上で知っていると便利で、将来経済的に自立した豊かな人生を送るために役立つ金融読本を紹介します。

(読本1) 橘玲+海外投資を楽しむ会(編者) 『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』 講談社+α文庫、2003年.

(読本2) 橘玲+海外投資を楽しむ会(編者) 『「黄金の羽根」を手に入れる自由と奴隷の人生設計』 講談社+α文庫、2004年.

(読本3) 橘玲 『雨の降る日曜は幸福について考えよう』 幻冬舎、2004年.

さらに、人生における経済的独立の問題と密接に関連している個人の自由と政府、社会、経済の関係について考察した次の教養読本を推薦します。

(読本4) 森村進 『自由はどこまで可能か』 講談社現代新書(1542)、2001年.

(読本5) 竹内靖雄 『国家と神の資本論』 講談社、1995年.

(読本6) 末弘厳太郎 『役人学三則』 岩波現代文庫(800)、2000年.

(読本7) Milton Friedman, Capitalism and Freedom, The University of Chicago Press, 1962, 1982.

(読本8) 池田信夫 『ハイエク―知識社会の自由主義』 PHP新書(543)、2008年.

(読本9) Friedrich A. Hayek, The Road to Serfdom, The University of Chicago Press, 1944 (with a new Preface by the author, 1976).

経済的基盤がないと人は自由に生きることはできません。自由とは他人に依存するのではなく独立した人間として自らに由って生きることを意味します。自らに由って生きるためには多くの選択肢を持っていることが前提になります。選択肢がなければ当然自由に生きることはできません。そして、経済的基盤があってこそ多くの選択肢が可能になります。橘玲は次のように主張しています―「国家にも企業にも依存せず自分と家族の生活を守ることのできる資産を持つことを「経済的独立」という。人生を経済的側面から考えるならば、私たちの目標はできるだけ早く経済的独立を達成することにある。真の自由はその先にある。」―と。そして、きっと真の幸福はさらにその先にあるのでしょう。なぜならば、幸福のための必要条件が自由だからです。したがって、福祉国家(社会主義の一形態)の名の下に人々が自らの自由を放棄し政府に依存した人生を選択するならば、決して幸福な人生にはならないでしょう。政府による保護は、個人による自由に生きる権利の放棄と引き換えになっていることを認識すべきでしょう。「自己責任」は自由の原則であり、人々が自らの自由に生きる権利を守るための大切な意思表示です。人々は支配され依存して生きるよりも自由に独立して生きる方が幸せです。したがって、政府に最小国家として必要な個人的自由の保護公共財の供給以外の義務(例えば、合理的に正当化できない所得再分配や定義できない社会的正義などの義務)を負わせてはいけません。国民への多くの義務を負う政府は、多くの法律や規制や税制を作って市場経済や人々の思想や私生活へのより大きな経済的・政治的介入を正当化するからです。巨大な国家権力を握った政府は、人々から自由と創造性を奪い、自発的な民間活動を停滞させ、人々を不幸にするからです。それに対して、人々が人生哲学として政府に頼らず自立した人生を歩む意思を共有した時に、初めて自由社会が成立するのです。そして、自由社会が幸福な人生を生きるための社会制度的必要条件となります。他力本位から自力本位へ向けての個人の意識改革と社会の構造改革が必要ではないでしょうか。みなさんも、雨の降る日曜には幸福について考えてみると良いでしょう。

 経済的に自立するには、金融経済の基礎知識を身に着けておくことが必要です。そこで、次に、一般市民が経済的に独立した人生を送ることを可能にする資産運用の基礎知識を与えてくれる金融読本を紹介します。これらの金融知識を若い時点で身についているかいないかで、(バタフライ効果複利効果によって)みなさんの将来の人生に大きな違いが出てくることは間違いないと思います。

(読本10) 北村慶 『貧乏人のデイトレ金持ちのインベストメント−ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵』 PHP研究所 2006年.

(読本11) Burton Malkiel, A Random Walk Down Wall Street, Norton, 2004.

(読本12) Cheol Eun and Bruce Resnick, International Financial Management, Mcgraw-Hill College, 2006.

日本政府の財政悪化、人口減少・高齢化、潜在成長率の低下などから見て、公的年金など社会保障の水準を維持することは今後ますます困難になっていくのは目に見えています。これらの読本は、政府による社会保障などの所得再分配機能が低下するのに伴い将来確実に拡大していく「所得格差」と「自己責任の原則」の下で、一般市民が経済的独立を獲得するために必要な資産運用に関する基礎知識を与えてくれます。特に、若い人達が持っている長い人生の「時間」を味方につけて「複利効果」と「時間分散(定時定額投資)」を有効に利用した長期の国際分散投資を実行すれば、非常に高い確率で「経済的独立」を獲得することが可能であることが分かります。例えば、毎年100万円ずつ40年間投資し続けたケースを考えると、年平均収益率5%の場合には40年後には約1.5億円、10%の場合には約5億円の資産を所有している計算になります。40年間に投資した総額は4000万円ですので、年平均収益率5%の場合には4倍弱、10%の場合には12倍強に資産が増大することになります。なぜ長期投資なのか?それは、時間が経てば経つほど、リスクの相対的重要性が低下しトレンドの重要性が増してくることに加えて、「複利効果」の強力な力を享受できるからです。なぜ国際分散投資なのか?それは、日本の長期潜在成長率よりも高い成長率を達成すると予想される国々を資産ポートフォリオに組み込むことによって、リスクを低減すると同時に日本より高いトレンド(収益率)を実現することが可能になるからです。トレンドを味方につけるベータ戦略、これが長期投資では重要になってきます。世界中から高い成長トレンドが期待できる国々の主要インデックスに基づいた手数料の少ない ETF(Exchange Traded Funds) を中心に資産ポートフォリオを作り、若い時点で将来を見越した正しい長期の国際分散投資を始めることができるかどうかで人生に決定的な違いが生じることになります。将来の日本社会においては、「自己責任の原則」の下でますます拡大していく「格差社会」がより現実的なものとなっていくことでしょう。そのような将来を見越して、若いうちに正しい長期の国際分散投資戦略に基づく資産運用を着実に実行していく必要があります。そのためには、ファイナンス理論国際金融世界経済の知識が必要です。

 長期の国際分散投資に必要な基礎知識を学んだならば、次に紹介する読本からは金融のプロに騙されないために必要な金融の知識を学ぶことができます。

(読本13) 吉本佳生 『金融広告を読めーどれが当たりで、どれがハズレか』 光文社新書(206)、 2005年.

(読本14) 薮下史郎 『非対称情報の経済学:スティグリッツと新しい経済学』、光文社新書(049)、2002年.

企業は学生割引、限定セール、ポイントカード、会員カード、など様々な手法を使って価格差別を行い利益を最大化しようとしています。安くないと買わない客には安く売り、高くても買う客には高く売るという価格差別ができれば企業利益が増加します。すなわち、消費者余剰を生産者余剰に変えることができます。銀行などの金融機関も、当然ながら、自動的に客を選別できないかと狙っており、そこで金融商品広告の登場となるわけです。吉本佳生の本は、金融広告が顧客をカモと常識人のどちらかであるかを自動的に自己選別させるよう巧妙に作られている、という重要な点を多くの例を使って指摘しています。広告は、不完全・非対称情報の下で、企業にとって利益になるように客をを自動的に自己選別させる機能を持っています。すなわち、カモは騙されても気がつかないので差別化を通じて過剰利益を上げさせてもらえるけれども、常識人を騙すと後で商品のカラクリに気づかれて不信感を抱かれ最終的に顧客を失うことになるかもしれません。そのような事態を避けるために金融広告の中に小さな文字で重要な情報を書くことで広告を正しく読んで理解した常識人なら商品のカラクリが分るように作成しているのです(中には、重要事項を隠している悪質な広告もあるので注意が必要です)。カモにはぼったくり金融商品を購入してもらうと同時に、常識人には間違って購入して後でトラブルにならないように広告を読んだ顧客が自動的に自己選別するように作られているのです。例えば、世界中から凄いパフォーマンスのファンドだけを集めた「ファンド・オブ・ファンド」と呼ばれている国際分散投資型投資信託などがぼったくり商品の典型です。なぜかというと、第一に、過去の成績が良かったファンドだけを集めれば確実に凄い過去のパフォーマンスを示すチャートを顧客に対してアピールすることができますが、過去のパフォーマンスと将来のパフォーマンスには何の関係もない(もしくは負の相関がある)ことは良く知られた事実だからです。第二に、多くの世界中のファンドを集めて運用を各ファンドに任せきりにした分だけ各ファンドごとに信託報酬を二重に払うわけですから、販売手数料(2〜4%)を除いた信託報酬(各種手数料を含む)だけでも毎年2〜5%取られます。これでは、投資収益の多くを手数料としてぼったくられることになってしまいます。それよりも、自分で金融の基礎知識を学んで、将来性のある国々の主要市場インデックスに基づいたETFを自分で購入し長期国際分散投資をすれば信託報酬等は払わなくてすみます。第三に、成功報酬(例えばキャピタルゲインの20%)が取られる場合には、投資信託が長期的にまったく成功しなくても、各年ごとに価格が大きく上下するたびに成功報酬が取られていくことになります。これら手数料や各種報酬によって失われた機会費用は、複利効果によって長期においてはとても大きな金額になります(前節における年平均収益率0%と5%と10%の差を比較参照)。このように、巧妙に作った金融広告を使ってカモとなる無知な顧客を自己選別させ、金融機関は自らの利益最大化を目標に行動しているので、一般市民はプロに騙されないだけの金融知識を身につけておく必要があります。このような金融広告戦略は情報が不完全・非対称だから可能なわけで、「情報の経済学」が "Self Selection" と呼んでいる仕組みのとても良い例です。我々が住んでいる現実社会は、情報の不完全性・非対称性から発生する様々な現象や出来事で溢れています。その中で、カモにならず常識人として正しい選択をしていくには金融や経済学の基礎知識を学んでおく必要があります。

 金融広告の例に表れた不完全・非対称情報の問題は、その本質をより深く考察していくと、最終的には、社会的文脈における言語能力を持った人間の思考・推論・行動に関する根本的問題に収斂します。また、未来へ向けた投資の本質も不確実性の下での人間の思考・推論・行動にあります。さらに、われわれの推論の欠点や陥りやすい過ちなどについて自ら知っておくことは、日常生活においてもプロフェッショナルな生活においても、物事を正しく判断し行動するための役に立ちます。したがって、次に、言語を使った人間の推論(論理的・確率的・日常的)に関する読本と人間の本性に迫る言語学、脳科学および哲学に関する読本を推薦しておきます。

(読本15) 市川伸一 『考えることの科学−推論の認知心理学への招待』 中公新書(1345)、1997年.

(読本16) Steven Pinker, The Language Instinct: How the Mind Creates Language, HarperPerennial, 1994

(読本17) 酒井邦嘉 『言語の脳科学−脳はどのようにことばを生みだすか』 中公新書(1647)、2002年.

(読本18) 茂木健一郎 『脳と創造性−「この私」というクオリアへ』 PHP、2005年.

(読本19) 澤田直 『新・サルトル講義−未完の思想、実存から倫理へ』 平凡社新書(141)、2002年.

人間の思考・推論・行動は言語を通じて行われ、言語は脳の主要な能力であり人間の本性と深く結びついています。すなわち、人間の本性を理解するには、まずはじめに言語の本質を理解する必要があるのです。しかも、言語の研究は人間の意識・心の探求に他なりません。最新の言語学および脳研究によると、言語の本質は「自由と創造」にあるといわれています。言語は有限の文法に基づいて無限の文章を創造することが可能です。有限から無限を創造する能力、それが人間に本能として備わっているのが言語能力なのです。この言語能力によって、人間精神は経験と思考を通じて学び成長しながら知識を蓄積し、価値や文化を創造することができるのです。この創造的活動のためには自由が必要です。というよりも、自由と創造とは自に由って「無」から新しい「(価値)存在」を創り出すという意味で一体であり不可分なもである、と表現する方がより正確でしょう。サルトルの言葉を使って表現すると「実存としての人間存在(対自)は、自由でない自由は持たず、世界に投げ出されているという事実を積極的に引き受け、投企によって世界に意味を与えることが本来的なありかたである」ということになるでしょう。しかも、言語能力は全ての人々が生まれながらにして共有している潜在能力です。言語には自己性他者性が同時に内在しています。言語の持っている自己他者性が相互理解を可能にするのです。その結果、人々は言語を媒介としてお互いにコミュニケーションすることができるようになります。言語を通じて人間社会が成立しているわけです。さらに、「自由と創造」が言語および人間の本性であるならば、社会制度はそれらを擁護し発展させるようにできていなければなりません。このように考えれば、人間の本性と整合的な社会の形態として個人の自由と創造を尊重する自由社会以外にはありえないでしょう。「自由と創造」は企業家精神を通じて経済発展の原動力となり、さらに科学者精神や芸術家精神を通じて人類文明文化の原動力となります。自由社会こそ、人間の本性である「自由と創造」を最大限に尊重し、その力によって発展する社会形態なのです。このように、自由社会は個人の自然権や効用概念(帰結主義)よりももっと根本的な「自由と創造」という人間の本性に基づいて正当化することができるのです。

 次に、「自由と創造」の問題を日本の思想(無思想)、社会および文化の観点から議論した非常に刺激的な教養読本を紹介します。

(読本20) 永田親義 『独創を阻むもの』 他人書館、 1994年. 

(読本21) 加藤典洋 『日本の無思想』 平凡社新書(Y740)、 1999年.

(読本22) 間宮陽介 『丸山真男―日本近代にける公と私』 筑摩書房、 1999年.

(読本23) 丸山真男著・松沢弘陽編 『福沢諭吉の哲学(他六篇)』 岩波文庫(青N104‐1)、岩波書店 2001年.

さらに、「自由と創造」の問題に深く関連している「知的好奇心」や「無気力とやりがい」について論じている心理学の本を上記の背景本として推薦します。

(読本24) 波多野誼余夫、稲垣佳世子 『知的好奇心』 中央新書(318)、1973年.

(読本25) 波多野誼余夫、稲垣佳世子 『無気力の心理学―やりがいの条件』 中央新書(599)、1981年.

多くの心理学研究は、人間が生まれつき進んで情報的交渉を求める旺盛な知的好奇心を持ち、それこそが人間らしく生きる原動力であることを明らかにしています。そのような心理学研究の結果に基いて、波多野誼余夫と稲垣佳世子は、人間が本来能動的で知的好奇心に富み、他者や環境と生き生きと相互交渉しつつ自ら成長し続ける存在であること、そして、みんなにとってこのような人間本来の生き方が可能になるためには、現状のように学校や社会がそのような人間の潜在能力(好奇心、自由、創造、成長)を管理し枯渇させるのではなく、それら潜在能力を自由に伸ばせるように改革しなければならない、と主張しています。この問題と響きあうように、加藤典洋は「なぜ日本人は無思想なのか」という問いから出発し「タテマイとホンネ」、「内と外」および「公と私」という考え方の起源と嘘と欺瞞性を明らかにしています。本来、「公的なもの」の底にあるものは「私的なもの」であって、その「私的なもの」は「公的なもの」よりも広くて深いものなのです。「私」は「公」に先立つ存在です。「公」は「私」によって作られるものです。したがって、本来の公私の位置関係が倒錯している日本社会に「私」を自然的土台に持った「公」のありかたを再構築し、「タテマエとホンネ」という巧妙な自己欺瞞の思考装置によって解体された「言葉が力を持つ空間」を回復することが必要である、と説いています。いわば、私益に立脚する公共性をロゴスに基づいて築くことを主張しているのです。さらに、永田親義は「なぜ日本人は独創性に欠けるのか」という問いかけから議論を始めます。そして、日本人と科学、欧米における哲学の尊重、創造性とギリシャ哲学、中国になぜ近代科学が生まれなかったか(ギリシャとの比較)、ユダヤ人の独創性は何によるか、日本になぜ独創的研究が少ないか、独創的研究と日本の社会的風土、というようにというように独創性の問いに歴史と文化に関する分析を混ぜ合わせながら議論を展開していきます。独創性を阻む日本の社会的風土として、実用的で直ぐに役に立つものに価値を置く風土、討論を通じて互いに切磋琢磨し合う習慣の欠如、和をもって貴しとなす論争抜きの和の呪縛、建前(タテマイ)と本音(ホンネ)の使い分け、恥と世間体の文化、個性のない集団主義、没個性で無感情、日本人の画一性、他人本位、真の自由の欠如、などが指摘されています。そして、結論として、日本人が独創性に欠ける理由は「哲学の不在」と「個性の確立のなさ(没個性)」にあると主張しています。「哲学の不在」とは、世界と人生の本質について客観的・論理的に深く考えることがないことを意味します。「個性の確立のなさ(没個性)」とは、自分の中に価値判断の基準をもたずに世間を気にしながら生きる個性のなさを意味します。すなわち、「哲学の不在」と「没個性」とは、自分自身の頭で徹底的に考え抜いた上で作り上げた自分の世界観・人生観を持っていないことを意味するのです。ところで、個性の確立にとって必要不可欠な条件は自由です。そして、ある人間が自由を主張する場合、当然の前提として、その人間が自分の思想すなわち哲学を持っていることが要求されるのです。すなわち、人間が自由であること、個性を確立すること、そして各人が哲学を持つことは一体であり不可分なのです。この点が、個を中心とし、その集まりとして全体を考える西洋と、まず全体を考え、その構成員として個を考える東洋との決定的な違いです。そして、この精神構造の違いが科学的独創性の発現と欠如、そして人類文明文化への貢献の大小として現れてくるのです。ここで紹介した教養読本は、我々が人間の本性である「自由と創造」の問題と日本社会における独創性欠如の問題を比較検討しながら、最後は人類の文明文化について考えるために最適な材料を提供してくれるとても興味深い本です。科学者や教育者はもちろん、世界中のすべての人々にとって学ぶべきことの多い本です。

 自分の世界観・人生観を持つことの重要性が明らかになったところで、最後に残る難問は人生の目的に関する問いです。世界観・人生観の中心となる課題は「人生の目的は何か」という問いかけだからです。この課題は、人間である以上、最終的には避けて通れない問題です。なぜならば、人間は生きている限り、毎日の生活における様々な選択を通じて、実は、この問いに対する答えを自らの行動で示しているからです。しかも、人生の目的について考える際に大きな焦点となる問題は他者との関係のあり方です。それでは、最後に、人生の目的と人間関係について考える際に示唆に富むと思われる本を紹介することにしましょう。

(読本26) G.E. Moore, Principia Ethica, Cambridge University Press, 1903, 1993 (revised edition).

(読本27) 神谷美恵子 『神谷美恵子著作集(生きがいについて、人間を見つめて、こころの旅、存在の重み、等)』 みすず書房 1981年.

(読本28) 澤田直 『<呼びかけ>の経験−サルトルのモラル論』 人文書院、2002年.

(読本29) E・レヴィナス 『全体性と無限(上)(下)』 (熊野純彦訳) 岩波文庫 (青691)、2005年.

(読本30) E・レヴィナス 『存在の彼方へ』 (合田正人訳) 講談社学術文庫 (1383)、1999年.

(読本31) 屋良朝彦 『メルロ=ポンティとレヴィナス―他者への覚醒』 東信堂、2003年.

(読本32) 熊野純彦 『差異と隔たり―他なるものへの倫理』 岩波書店、2003年.

(読本33) 斉藤啓一 『ブーバーに学ぶ―「他者」と本当にわかり合うための30章』 日本教文社、2003年.

(読本34) マルティン・ブーバー 『我と汝・対話』 (稙田重雄訳) 岩波文庫(青655−1)、1979年.

(読本35) Marco Iacoboni, Mirroring People: The New Science of How We Connect with People, Farrar, Straus and Giroux, 2008.

現代社会に生きている人々の90%以上は、「富と地位」の獲得を人生目標として毎日働いています。しかし、そのような人々のほとんどは自分が本当に幸せな人生を送っているとは感じてはいないはずです。その理由は、G.E. Moore の言葉を借りて表現すれば、人生の目的と手段を履き違えているからだ、ということになるでしょう。実は、現代社会には大きな秘密があります。それは、人間の欲望を否定するのではなく逆に積極的に肯定することによって人々の豊かな生活実現のために生かす、というとても巧妙に作られた仕組みである市場経済が現代社会の基礎になっていることです。そこでは自己利益に基いた有償の市場取引を通じて社会的に最適な資源配分と経済成長が達成できます。ただし、この仕組みは<物の豊かさ>を実現するにはとても有効に機能するけれども人々の<心の豊かさ>を必ずしも実現するものではありません。そこで、私たちはもう一歩先に進む必要があります。<物の豊かさ>の問題がある程度解決された次に現れてくる<心の豊かさ>の問題が未解決の問題として残されているからです。この問題に対してG.E. Moore は明確な答えを持っています。それは、人生の目的は愛(Love)と芸術(Art)にあり、それらを創造することが善(Good)である、ということです。愛と芸術には感動があります。そして、感動のある人生が幸せな人生といえるのではないでしょうか。富、地位、名誉、などは他人から認められたいという欲求から生まれたものであって、それ自体には一時的自己満足はあっても感動は伴わないでしょう。したがって、それ自体に価値があるとはいえません。さらに、人類の哲学・思想史において中心的な役割を果たす概念である自由(Freedom)に関しても、それ自体に価値のあるものではなく、人生の目的を達成するための重要な(おそらく一番重要な)手段ではあるが、自由それ自体は最終目的にはなり得ません。なるほど、自由があれば善も悪も選択可能になります。したがって、確かに、悪も選択可能な自由自体が人生の最終目的になり得るわけがありません。ましてや、「富」は「経済的独立」を可能にするけれども、それは自由という手段を獲得するための更なる手段に過ぎないのです。それ自体に価値のあるものとされる愛とは、相克性と欺瞞性を超越したコミュニケーション(無償の相互贈与)と愛情で結ばれた人間関係を意味し、芸術とは作品を媒介・触媒とした作者と読者の間の共同制作的コミュニケーション(無償の相互贈与)を意味しています。の創造に加えて科学的真理や美しい数学の定理の発見なども芸術と呼ぶことができるでしょう。愛情を創造・体験できること、芸術を創造・鑑賞できることはそれ自体に価値のあることです。それ自体に価値があるものを直接経験する時に感動という人間の感情が伴います。感動はそれ自体に価値のあるものに触れたときに起こる心のシグナルです。そして、感動のある価値とは人間と人間の間の無償の相互贈与としての<言語を含む身体>を通じたコミュニケーションの中から<生まれてくる>ものです。愛と芸術はそれ自体が目的であり、他の目的のための手段ではない限りにおいて、それらが人生の目的であるといえるのです。


 International Finance and the World Economy


植田和男・深尾光洋 『90年代の国際金融』 日本経済新聞社、1991年.

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河合正弘 『国際金融論』 東京大学出版、1995年.

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高木信二 『入門 国際金融』(第3版) 日本評論社、2006年.

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藤原秀夫・小川英治・地主戸敏樹 『国際金融』 有斐閣、2001年.

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Finance


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久保田敬一 『よくわかる ファイナンス』 東洋経済新報社、2001年.

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* This volume is a rich source of 101 years of cross-country data (1900-2000) on equities, bonds and bills. It also discusses size effects and seasonality in stock returns as well as the equity risk premium.

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Neftci, Salih, An Introduction to the Mathematics of Financial Derivatives, second edition, Academic Press, 2000.

* This is a good undergraduate-level text for the new approach to finance theory (developed by Harrison, Kreps and Plisca). It covers martingales, Ito's Lemma, equivalent margingale measures, the Girsanov theorem, the arbitrage theorem, and all the other basic concepts in stochastic calculus for finance. Its chapter 2 (A Primer on the Arbitrage Theorem) offers a very good summary of the new approach at an elementary level.

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* A well known best seller that is not well written.

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* This is a collection of the author's papers, which is at the same time a good introduction to behavioural finance.

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              Mind, Logos, and Action


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* Chomsky has inspired a new field of research on the relationship between human language and human mind. Chomsky's main arguments may be summarized as follows: A language makes infinite use of finite means and its generative grammer describes the creative processe of producing infinite sentences from finite syntactically functioning unites. Deep structure in syntax has psychological and biological foundations (Universal Grammar), and therefore the grammars of internalized languages (I-languages) reveal a fundamental and innate structure of our mind and human nature. The newest development is the Minimalist Program, which seeks to derive the Universal Grammer from an optimization principle instead of a set of ad hoc principles. Comsky's linguistic analysis has revealed "freedom and creativity" as the essential part of human nature. An ideal form of social organization must be consistent with the human nature.

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* Ellsberg shows an experimental example of choice under uncertainty that contadicts one of the basic axioms of rational decision making under uncertainty proposed by Savage (1954).

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* These two volumes edited by Kahneman and Tversky collect both theoretical and empirical papers that offer alternatives to the standard expected utility maximization model of human action.

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* Knight made a distinction between (measurable) risk and (unmeasurable) uncertainty.

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* This is an entertaining and yet informative book that discusses Noam Chomsky's linguistics and the rich world of cognitive science. Its main message is that human language is an instict and our understanding of language offers a way of studying the human mind and human nature.

Pinker, Stevens, How the Mind Works, W.W. Norton & Company, 1997.

* As a sequel to The Language Instinct, Pinker explores the working of the mind in view of two basic theories: the computational theory of mind and the theory of natural selection of replicators.

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* Ramsey's Truth and Probability was the first paper that formulated the modern subjectivist view of utility and probability. He used the so-called Dutch book arguments to derive consistent subjective probabilities from choices between lotteries. He also used the word "human logic" to include induction as an extended logic.

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* Savage's formulation of the subjective expected utility maximization theorem has become a standard tool of the modern decision theory. But it is based on a problematic axiom called the "Sure-Thing-Principle," which implies among others that the state of the world is independent of an action.

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Wittgenstein, Ludwig, On Certainty, Basil Blackwell, 1969; First Harper Torchbook edition published in 1972.

* Wittgenstein captured the Zeitgeist of the 20th century (the scientific view of the world and life or a demarcation between facts and values) in Tractatus Logico-Philosophicus and then pointed a new direction for the Zeitgeist of the 21st century (the humanistic view of the world and life) in Philosophical Investigations and On Certainty. His philosophy deals with the most fundamental question about the world and life by means of logic and language analysis. Language and logic are closely related as both are called "logos" in Greek. The influence of his philosohy is widespread across many different fields.


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