名     澁谷 浩             (Last Update 2017年2月7日)

1.     研究主題

澁谷ゼミの研究テーマは<人間関係>です。特に、人々の間の<協力>はいかにして可能か、という社会科学の基本問題というべき問いについて研究します。みなさんは「情けは人の為ならず」という諺を聞いたことがあるでしょう。この諺の意味は「人を助ければ、めぐりめぐって結局は自分のためになる」です。すなわち、利他的な(に見える)行動は実は自己利益のため、という命題です。

一般に、Homo Economicus(合理的経済人)を仮定する経済学者はこの命題は正しいと考えますが、Homo Sapiens(人類)を研究対象とする進化生物学者はこの命題は誤りと考えます。進化生物学者は、利他行動を他人に利益を与えるが自分にコストがかかる行動と定義します。そして利他行動は、個と集団の階層淘汰(Multilevel Selection)による進化プロセスの結果、人間を含む生物界に存在するようになったと理解しています。すなわち、集団内では利己的人間が優位ですが、集団間では利他的人間が多い集団が優位に立てる、ということです。したがって、階層淘汰が働く社会環境では、利己と利他の性向を持つ2種類の人間もしくは戦略が存在しうることになります。

本ゼミでは、人間本性を形成すると考えられる利己と利他の相互作用の視点から、協力関係(信頼、愛、助け合い、成長、平和)、敵対関係(不信、憎しみ、搾取、衰退、戦争)などの社会現象を、個人の自己利益最大化行動から生まれる社会均衡としてではなく、個人と集団の相互作用(階層淘汰)を通じた進化プロセスとして分析していきます。このような新しい進化論の視点から、より良い人間社会(人間関係、組織マネジメント)を実現するためにはどうすれば良いのか研究します。

2.指導要領

 3年次には各自テキストの一部を発表してもらい全員で議論して理解を深めます。4年次には卒論作成に向けて研究成果の中間発表を行い、全員からの質問、意見、批判を参考にして論文を完成させます。

3.指導テキスト及び参考書

高木修、竹村和久(編)、 思いやりはどこから来るの?ー利他性の心理と行動 、心理学叢書(監修:日本心理学会)、誠信書房、2014..

George E. Vaillant, Triumphs of Experience: The Men of the Harvard Grant Study, The Belknap Press of Harvard University Press, 2012.

その他の参考文献は追記(他の参考文献)を参照してください。

4.選考の方法(面接・テスト等)

本ゼミ希望の学生は、<自己紹介とゼミ志望理由書>(写真付&A4サイズ4ページ以上8ページ以内)を11月7日(月)13:00時までに澁谷研究室(Room 539)ドアのボックスの中に提出してください。選考は、ゼミ志望理由書、学業成績、面接などに基づいて総合的に評価して決めます。特に<自己紹介とゼミ志望理由書>は判断材料として重視します。

5.面接・テスト等の日時・場所

日時: 11月8日(火)14:30より一人ずつ順番に

場所: 澁谷研究室(539)

面接の順番は、8日(火)14:15に研究室(539)のドアに掲示します。

6.注意事項・履修希望者へのメッセージ

澁谷ゼミでは、<楽しくかつ真面目に学問する(=問いながら学ぶ)>をモットーに、全員で自由に議論しながら学びます。澁谷ゼミでは、英語能力があり、世界中の出来事に興味を持ち、社会科学全般について学ぶ意欲があり、人生に対して積極的な態度を持った学生を募集しています。澁谷ゼミに関するより詳しい情報は、ホームページ(http://www.hiroshishibuya.com )に掲載してあります。

7.オープンゼミの日時・場所(予定)

後期授業開始日よりゼミ内定者発表日まで、毎週木曜日14:30から澁谷ゼミ室にてオープンゼミ開催していますので、みなさん気軽に見学に来てください。


追記: 他の参考文献

David Sloan Wilson, Does Altruism Exist? Culture, Genes, and the Welfare of Others, Yale University Press, 2015.

Hiroshi Shibuya, Does Society Need Altruists? Coevolution of General Trust and Social Intelligence, 商学討究、642/3号、2013

Adam Grant, Give and Take: Why Helping Others Drive Our Success, Weidenfeld & Nicolson, 2013.

Samuel Bowles, The Moral Economy: Why Good Incentives Are No Substitute for Good Citizens, Yale University Press, 2016.

Russ Roberts, How Adam Smith Can Change Your Life : An Unexpected Guide to Human Nature and Happiness, Portfoilio/Penguin, 2014.

Paul Bloom, Against Empathy: The Case for Rational Compassion, Bodley Head、2016.

神取道広、
人はなぜ協調するのか ― くり返しゲーム理論入門、公益財団法人・三菱経済研究所、2015年.

木村資生、
生物進化を考える 、岩波新書19、1988年.

内井惣七、
進化論と倫理、世界思想社、1996年.

佐倉統、
進化論の挑戦、角川選書288、角川書店、1997年.

内藤淳、
進化倫理学入門 ― 「利己的」なのが結局正しい 、光文社新書390、2009年.

長谷川真理子、山岸俊男、きずなと思いやりが日本をだめにする 、集英社インターナショナル、2016年